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先輩紹介

塗装ブースを手がける熱がいつしか親心に変わっていく 設計エンジニアリング部 第11設計室 桑下信次 2003年入社

塗装がなければ、自動車は完成しない

桑下信次

自動車において、塗装がなぜ必要なのかと考えたことはありますか?自動車を選ぶときに車種やメーカー、使用用途と並び、「色」を重要視する人は多いはずです。もし、自動車が塗装をしないままの状態だったら、自動車を楽しむ要素が減ってしまいます。色があるから、自動車に愛着が持てるもの。自動車づくりを担うさまざまな会社が、“ガソリンの燃費を向上させるための技術”、“ハイブリットカーの電池性能をあげるための研究”をかさねるように、私たちは「いかに塗装技術を進化させるか」を考えています。私が所属する設計エンジニアリング部では、主に塗装設備の設計をおこなっています。その中でも、私は自動車の塗装ブースを担当。お客様との仕様決めから設計、組み立て後の最終調整をするのが仕事です。微妙な色合いやツヤを実現するためにも、塗装ブースはなくてはならないもの。塗装なくして自動車は完成しません。

塗装環境を整え、より高い品質の自動車を生み出す

桑下信次

塗装ブースとは、文字通り塗装をする個室のこと。たかだか車の塗装でなぜブースが必要なのか。その目的は2つあります。
ひとつは、ホコリをつけることなく塗装・乾燥するため。塗装の天敵は、ホコリです。塗装物にホコリが付着することで、仕上がりは悪くなってしまいます。色ムラなく、常に同じ塗装状態を保つためにブースが必要となります。
もうひとつは、塗装環境を整えるためです。閉め切った個室のなかで、塗装作業をおこなうことは作業者にとって大きな負担になります。そのためブース内に、排気ファンと給気ファンを設置し、空気を循環させます。その際も、ホコリが入らないよう特殊なフィルターをつけ、ろ過しています。塗装終了後は、乾燥室へと移動。給気ファンから温かい空気を送り込み乾燥させます。この作業工程をスムーズにおこなうため、設計者はブース内の熱量を計算し、ファンの数やレイアウトを考えます。また、ブース内の照明では、光の強さはもちろん、作業者自身が影にならないよう蛍光灯の向きや配置を決めなくてはなりません。ただ塗装するためだけのブースではなく、環境や作業者に配慮し設計する必要があります。

手がけた塗装ブースは、我が子のような存在

桑下信次

今でこそ、塗装ブースの大切さに気付きましたが、入社5年目、ある塗装ブースの責任者を任されるまでは仕事をこなすことで精一杯でした。先輩のいない、ひとりでの初仕事。お客様との仕様打ち合わせから、図面制作、素材調達、組み付けの調整など、ブースの企画から完成までの一連を担当することになりました。お客様の要望を取り入れながら、納期までに完璧なものをつくらなければならない。作業が進めば進むほど、焦りが募りました。しかも、ひとつのブースは、何千万もする高価な設備。大きな金額が動く分、私のなかで知らぬ間にプレッシャーを感じていたのでしょう。通勤中でも、夢の中でも、ブースのことばかり考えていたのを覚えています。しかし、私の中で気持ちはひとつ。
「お客様の要望に合ったブースをつくりたい」
その思いで遅れ気味だったスケジュールを立て直し、半年後、無事、納品することができました。普通なら「終わった」「間に合った」という感想が普通でしょう。しかし、私は違いました。
「ちゃんと稼働して、一所懸命働くんだぞ・・・」
試行錯誤を繰り返して設計したブースが自分の手を離れ、お客さんのもとでひとりで働くようになった時、子どもの独り立ちを見守る親のような心境になりましたね(笑)。自分の気付かないうちに、ブースに対する思いが強くなっていたようです。塗装が自動車にとっていかに大事な存在なのか、私はこの設計を通じ改めて感じることができました。

仕事の相棒紹介
関数電卓の画像
仕事の相棒紹介
関数電卓

設計では、構造力学、熱力学などの知識が必要不可欠。塗装ブースにかかる、あらゆる力を考慮しながら、安全な設備構造を導き出します。設計には様々な計算が必要なため、一般的な電卓より、すばやく計算のできるこの電卓を使用しています。社内の設計室で使用するのはもちろん、お客様を訪問する際にも持っていき、設備の変更や修正にすばやく対応ができるようにしています。

仕事の相棒紹介